「アスファルト・レディ」杉山清貴&オメガトライブの焦燥感に満ちた悦楽に見え隠れする色香のある強硬なサウンド
「ASPHALT LADY」
杉山清貴&オメガトライブ
Single 1983.10.
杉山清貴&オメガトライブのファーストアルバム「AQUA CITY」がリリースされて翌月。
『もう新曲が出るんだ』という印象でした。
FMから流れてきた楽曲は、秋ならではの華やかさと切なさが混在しているような素敵な音色と、ちよっとせっつかれたような焦燥感が素晴らしくて一気に魅了されたのを覚えています。
キーボードのかっこ良さ!さらに磨きあがっている感じがして、当時は最高に「洗練されている」と感じたものです。
おしゃれになりたい、かっこよくなりたい、という気持ちにピッタリとハマッてしまった一曲です。
アルバムへの収録は「RIVER'S ISLAND」なので、年が明けてからのことでした。
シングルバージョンはアルバムバージョンよりも速めにフェイドアウトしているのが印象的。あえて多くを歌わないというコンパクトなシングルエディットになっていて、それゆえに後をひくのでしょう。
サウンドは、どこか強引です。強硬に突っ走っている感じがします。もっと荒削りのほうがワイルドさがあってかっこいいのでしょうが、絶妙にお洒落な編曲と演奏にまとまっています。
歌詞の通りというよりも、やや音色に誘導されて「女性像」が思い浮かびます。FMから流れていた回数は、多くはなかったかもしれませんが、聴くたびに映像を感じることができました。
ウォークマンに入れて連れ歩きたい音楽ですが、当時の私はウォークマンを持っていません。おそらく、うろ覚え。それを脳内再生させながら楽しんでいました。
セカンドアルバム「RIVER'S ISLAND」が発売されたときは、もう楽しみで仕方ありませんでした。でもね、アルバムで聴いたら「あれれ?」という肩透かしをくらったような印象に変わりました。脳内再生しすぎたからでしょうか。こういう曲だっけ?と。
後に発売される「SINGLE'S HISTORY」で、シングルバージョンを聴くことができました。そのときは「そうそう、これこれ。これだよ」と思いましたので、アルバムバージョンとシングルバージョンは曲の長さだけでなく何かが違うのかもしれません。
『シングル盤のほうが荒削りでカッコいいから好き』という曲が、当時は多かった気がします。音のミックスでしょうか。でも、明らかに何かが違います。
大人になってから聴いていると、当時の『背伸びしていた自分』に戻ります。
「ASPHALT LADY」
杉山清貴&オメガトライブ
Single 1983.10.
written by 水瀬次郎
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