「パッシング・ドリーム」スペクトラムの奏でる音色は唯一無二なトワイライトから夜明けまで似合うよ


「パッシング・ドリーム」

スペクトラム

from album SPECTRUM




リズミカルに跳ねるバラード、といっても良いのではナイデショウカ。

とても華やかな気分にさせてくれるゴージャスさにツツマレテイマス。







スペクトラムを、リアルタイムでは知らないのですが、

『絶対に気に入ると思う!』

と絶賛する友人たちの声が忘れられなくて、ついに手を出してみました。

という経緯があります。

私が聞き始めたときは、すでに解散したあと。





最初にレコードジャケットを見せてもらったときの印象が強烈です。

ムリかも。と思いましたから。

でも「まあまあまあ聴いてみてってば!」と言われて。

レコードが準備されて。

レコードの針が動いて。

つっ。

レコードに針が降りて、息をひそめて。

そのまま聴き始めると。


!


!!


!!!


すげえ。



「これ、なに!?」と思わず、言いました。

身を乗り出していたかも。

「でしょ?」

「なにこれすげえ」

「でしょでしょ」

「うんすげー」

「いいでしょ!」

「サイコー!!」


友だちの兄貴の所有するレコードだったかな。

つまり、私にとってリアルでないのは当然。

年上の先輩たちからの影響です。

たぶん自分の力では、探すことも出会うこともムリだったでしょう。




考えてみると、「兄貴・姉貴」の影響って、大きいですね。

同級生でも、彼ら彼女らの兄姉たちが聴いている世界が別にあるわけで。

なにかを垣間見るように覗いたとき、卒倒寸前。



しかも。

年齢的には、兄貴たち姉貴たちは「コンサートに行ったことがある」のですよ。

お小遣いも増えている年ごろだったり、すでにアルバイトをして稼いでいたり。





この音サウンドいまなら、ファンキーと叫んだでしょうか。

まずなにより語彙が少なくて、

「いい」とか「すげえ」とか、そんな言葉ばかりで表現してました。



レコードで聴いたのも良かったかもしれないですね。

私の自宅にはレコードプレイヤーがありませんでした。

レコードプレイヤーを所有している家は、大きなスピーカーも備わっています。

だから、とても繊細でダイナミックで美しい音色を体感できたんじゃないかな。




ファーストアルバム「SPECTRUM」のなかでも、「パッシング・ドリーム」が好きなのは夕暮れ色が脳裏で思い浮かんだからかもしれません。

夕暮れの色って、その土地によって違いますよね。

待機の状況や、湿度、風に含まれる何かの成分など。







スペクトラムのレコードを聴かせてくれた友だちの家は、遠くに海が眺められる住宅地にありました。リビングの窓から水平線が見えたような気がします。ただのイメージかもしれませんが。



「お。お客さんかい」と友だちの兄貴が帰ってきました。

私が「おじゃましてます」と軽く会釈すると、

「聞いて聞いて!スペクトラムいいって!」と友だちが言います。

すると。

「お!気に入ってくれたかい。いいセンスしてるね」

「ファンがひとり増えたね!」

「もう解散しちゃったけどなー」




断片的な記憶ですが、

なぜか、夏の空と風と海を体が思い出します。



あの夕暮れの色は、どうしてあんなに美しかったんだろう。

夜明けまで聴いていたかったけれど、夜になるまえに帰らないと。

じゃあね。

またね。

いつでもおいでー。



いま振り返れば、数えるほどしか行っていないので、本当に限られた記憶です。

あのときこそが、唯一無二の夕暮れ。

どうすることもできない頃の、ささやかなプレゼントのような記憶。


じゃあね。

またね。




written by 水瀬次郎

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