「サマー・サスピション」杉山清貴&オメガトライブの疾走感あるデビュー曲




サマー・サスピション

杉山清貴&オメガトライブ

single 1983

on AQUA CITY



それは疾走感です。まさに胸の奥に走り去る風。ほほで感じる以上に痛い風です。


水色のトロピカルさと裏腹に、胸を切り裂くような悲痛な歌声に聞こえる瞬間さえあります。


発売当時のことは、私は記憶があいまいなのですが、1983年の7月になった頃からFMでがんがんにかかりまくっていたのは強烈な記憶です。

イントロが始まると、あ、なにか来る! という緊張感が、こみあげてくるのですよ。


キーボードは深い海のような映像を想像させてくれました。

年齢を重ねて、あらためて聴いても当時のインパクトは簡単に思い出せます。

ギターソロが最高なんですよ。

ツインギターですね。

ギターが弾くメロディは、歌とは別のもの。

けれども、なにか詩を感じることができます。

ギターソロからギターソロへ、いわゆるツインギターの構成になっていることで、グッときます。

胸に迫るものがあるんです。

言葉以上の説得力ではないでしょうか。



夏に似合う曲は、たくさんあります。

けれども、ここまで深い傷と無言の叫びが深く表現されている夏の音楽は稀有ではないでしょうか。


シングルは大ヒット。

テレビに出演することも、あったでしょう。

私はテレビを見る機会が少なかったので、いつかテレビ局のアーカイブで見られるようになればいいなと思っています。





杉山清貴さんの歌声は、「バンドのヴォーカル」だなと感じました。

ロックバンドのヴォーカルです。

ギターのエッジが効いた旋律も、乾きつつも潤いのあるカッティングも素晴らしいですし、ドラムとベースの協奏関係は絶妙にグッときます。

特徴的なのは、キーボード。

とにかく深みがあるんです。

深い、でも透明度が高くて、のぞきこんだら吸い込まれてしまいそう。

美しいから近づきたくなるけど、近づきすぎると怖くなる。そういう印象がありました。



1983年9月にリリースされたファースト・アルバム「AQUA CITY」の一曲目を飾っているのも「サマー・サスピション」です。

これから始まる映画の幕開け、そんな期待と緊張を凝縮したような楽曲にも仕上がっています。





サマー・サスピション

杉山清貴&オメガトライブ

single 1983

on AQUA CITY



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written by 水瀬次郎



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